設置・施工の基本

■見えない場所で進む低温炭化/着火現象

  1. 低温炭化 説明イラスト

    煙突やストーブが発する熱が壁や床の内部を加熱し、炭化させる「低温炭化」は、目の届かない場所で徐々に進行する。引火温度はわずか200℃。知らずに薪ストーブを焚いている限り、いつ発火してもおかしくない

「低温炭化」あるいは「低温着火」という言葉がある。これは、木造住宅の壁が、長期間高温にさらされることで熱を蓄え、ふだん目に触れない内部で徐々に炭化。通常260〜420℃にならないと発火しない木材が、200℃以下で発火する現象だ。

煙突の場合、表面が高熱を帯びるシングル(一重)煙突は、低温炭化/着火の原因になりかねず、もし煙突付近の壁の中が炭化していたら、火種を消しても煙突の熱で外出中に出火…という危険性は否定できない。

同じ条件で、断熱二重煙突の表面温度は90℃にも満たないのだから、その安全性の高さが理解できる。

予算の都合などで断熱二重煙突をすべてに使えないとしても、屋根や壁など、煙突が貫通する部分には不可欠で、それ以外の場所でシングル煙突を使う場合は、壁との離隔距離に十分な余裕を持たせることが肝心だ。

■飾りだけではない炉台と炉壁

  1. ストーブの熱から床を守る「炉台」と壁を守る「炉壁」。炉壁の場合、可燃性の壁との間に少なくとも25㎜の隙間(空気層)が必要になるなどの約束事がある。施工にあたってはストーブ専門店に相談するのが望ましい

ストーブ本体からの熱が木造住宅の壁や床に伝わり、低温炭化/着火の原因になることも多い。熱を遮断する目的でストーブ背面からの熱に対しては「炉壁」、ストーブ底部からの熱に対しては「炉台」を設ける必要がある。材質はレンガや、天然/人工石、スチール、ガラスなどさまざまで、インテリアとしての効果も高い。

また、ストーブ自体にも本体の背面や底部に取り付けるヒートシールド(遮熱板)を標準/オプションで装着するモデルが多く存在する。ただし、ヒートシールドが付いているからといって、炉台や炉壁が不要になるというわけではない。

薪ストーブの地震対策は?

  1. 脚部 イメージ画像

    地震対策のつもりで本体の脚部を床に固定するのはむしろ逆効果。固定した部分が支点になって転倒する恐れがある

薪ストーブには石油ストーブ/ファンヒーターなどに見られる、揺れを感知して自動的に消火する耐震装置は装備されていない。本体は100〜200㎏以上と非常に重く、重心も低いため大きな揺れを受けても転倒する可能性は低いのだ。

ただし、床と接している脚部分を固定するのは逆効果。固定した脚が支点になって本体の転倒を招き、焚いているときなら火災につながる危険があるためだ。

むしろ、揺れに任せて床の上を滑らせてしまったほうが安全。ストーブ本体と煙突の接合部分は外れてしまうが、転倒しなければ火種が外に出ることはない。

ちなみに、先の大地震でも薪ストーブの転倒で火災に至った事例はほとんどなかったという。