スペックで異なる性能・特性

■燃焼方式は3タイプ

機種の基本性能を知る際、重要なスペックのひとつに「燃焼方式」がある。

薪ストーブの特徴的な機能として、煙を積極的に燃やすことが挙げられる。薪を燃やすことを一次燃焼といい、その際に発生した煙を燃やすことを二次燃焼という。

燃焼方式はその二次燃焼を促す方法で分類され、大半の機種で採用されているクリーンバーン方式をはじめ、触媒方式、リーンバーン方式の3つが代表的。最近ではクリーンバーンと触媒を組み合わせた複合タイプも存在する。煙突から排出される煙の浄化性能や、燃費=経済性に大きく影響するだけに見過ごせない。

 

  1. クリーンバーン方式

    クリーンバーン方式 イラスト

    ひとつの燃焼室内で一次燃焼と二次燃焼を行う方式。空気取り入れ口から入ってきた一次空気は、ストーブ内部を通過しながら暖められ、燃焼しやすい高温状態になって二次空気として噴出される。一次燃焼で燃え切らなかった未燃焼ガスを燃やすことで有害物質の排出量を低減、かつ、暖房熱として活用する

  2. 触媒方式

    触媒方式 イラスト

    一次用と二次用、ふたつの燃焼室を設置。バイパスダンパーを閉じて一次燃焼室からの排煙と二次空気を混合し、触媒を通過させることで、低温で再燃焼させる方式。通常、再燃焼に必要な温度(500℃以上)を触媒作用によって250℃まで下げることが可能。薪の熱エネルギーを最大限に引き出すことで、低燃費と優れたクリーン性能を実現している

  3. リーンバーン方式

    リーンバーン方式 イラスト

    薪の燃焼(一次燃焼)と煙の燃焼(二次燃焼)を個別のふたつの燃焼室で行う方式のひとつ。バイパスダンパーを閉じることで、燃焼室内を循環して高温になった二次燃焼用空気が、耐火セラミック製の二次燃焼室に導かれ、再燃焼が行われる。薪から発生した可燃ガス=燃料に対して少ない空気量で燃やす設計は燃焼効率を高め、低燃費と低公害性をもたらす

■本体素材は主に鋳鉄か鋼板

本体素材も個々の機種を特徴づける注目すべきポイント。鋳物(鋳鉄)製と鋼板製が一般的だ。

鋳物製は鉄自体に熱を溜め込む性質、つまり蓄熱性に長けているのが特徴。一度、しっかり焚けば、輻射熱と遠赤外線を長時間放出し続け、火が落ちても暖かさが長持ちする。反面、暖まるまでに若干時間がかかる。

鋼板製はその逆。着火から暖まるまでの時間は早いが、火が落ちてからさほど時間を置かずに冷める。

これは、「どちらかが優れている」といったことではなく、個人で異なる、求める暖房能力やライフスタイルなどに適した選択肢があるのだと理解すべきだ。

  1. 鋳物ストーブ

    鋳物ストーブ 画像

    高温で溶かした鉄を砂型に流し込んで成形。現在、多くの薪ストーブメーカーが採用する鋳物は大量生産に有利。輻射熱を大量に放出し、蓄熱性が高いため薪ストーブの素材に適しているが、鋳造には高い技術が求められ、品質の劣るものは、高熱を受けた際、ヒビ割れたり、歪むことがあるという

  2. スチールストーブ

    スチールストーブ 画像

    モダンタイプで素材に用いられることが多い鋼板は、高度な加工技術が求められるが、デザインの自由度が大きいのが特徴。一般的に輻射熱や蓄熱性では鋳鉄より劣るとされるが、鋳物ストーブと同等の蓄熱性を持ち、輻射熱を大量に発生する非常に厚い鋼板を用いた機種も存在する

  3. ソープストーンストーブ

    独特の風合いで、鋳鉄以上の蓄熱性をもつソープストーン(石鹸石)を用いた機種も増えている。蓄熱性能は鋳物の約2倍といわれ、ハースストーン社では、本体パネルそのものをソープストーンとした機種をラインアップする

■暖房能力を示す出力/暖房面積/燃焼効率

暖房能力を示す数値に「出力」や「暖房面積」がある。しかし、現時点、それらの計測方法には統一した基準が設けられていない。したがって、同じ単位(出力はkcal/h、面積は㎡)で示されていても、異なるメーカー間での比較ができないのだ。

「燃焼効率」も同様。これは薪が本来もっている熱エネルギー(1㎏あたり4000〜4400kcal)を理想的な燃焼で100%引き出した場合、そのうちの何%を暖房の熱源として回収できるかという値。燃費を含めた薪ストーブの性能を判断する際に重視されるが、これも計測方法はメーカーによってまちまちだ。

とはいえ、メーカー内では同じ条件のもとで計測しているわけだから、同メーカーの機種同士を比較する際には役立つと考えていい。

■サイズを選ぶ際のポイント

  1. 鋼板製モデル 画像

    高断熱・高気密住宅では、若干出力を抑えた鋼板製モデルも有力な選択肢になる

一般的に、薪ストーブはサイズに比例して出力が増すが、寒冷地を除いた地域での最近の傾向として、コンパクト化が進んでいるという。その理由は、数年前と比べて住居の気密性や断熱性が大きく向上、比較的小さな低出力の機種でも暖房をまかなえるようになったためだ。

薪ストーブには居住空間に見合った焚き方がある。一般的な広さの高気密・高断熱住宅で大型のストーブをチョロチョロ焚くのは、自動車でいえば大排気量のスポーツカーでノロノロ運転をするようなもの。本来の暖房性能が得られないばかりか、燃費も含めて不経済この上ない。

逆に、暖房能力が乏しいため常に全開で焚かなければならず、ストーブに負担を与えかねない機種は論外だが、サイズで迷ったら、販売店と相談して1サイズ小さい機種を検討するのも手かもしれない。

高気密住宅に必須の外気導入システム

  1. 外気導入用ダクト 画像

    外気導入用ダクトは壁出し以外に、美観を損ねないよう本体の底部につなげて床下に出す方法もある

近年、薪ストーブで需要が高まっていて多くの機種に標準、またはオプションで設定されているのが「外気導入システム」。これは燃焼のために必要な空気を、室内ではなく屋外からダクトを使って積極的に取り込むためのもの。

その背景には2003年から高気密住宅に義務付けられた24時間換気システムがある。その1種から3種まである中で、コスト面からも一般住宅にもっとも多く採用されている3種(自然給気/ファン排気)では、窓を閉め切った状態で排気ファンを回すと室内が負圧になり、薪の補給などで薪ストーブのドアを開けると煙が室内に逆流してしまう。

外気導入システムはこうした問題を解消するために生まれたシステムなのだ。