薪ストーブの基礎知識

■暖炉やだるまストーブと何が違う?

  1. 薪ストーブ 温度測定 イメージ画像

    薪を燃やすことで鉄製の容器を暖め、その表面から放出される熱を暖房に利用するのが薪ストーブの基本的な考え方。とくに熱伝導率の高い鋳物製の場合、表面温度は300℃を超える

ストーブは主に鉄製の容器の中で薪を燃やし、その熱で容器そのものを熱し、表面から放出される熱や温風を暖房に使う。容器(炉)は密閉式で、薪を燃やすために必要な空気の量を加減することが可能。火力の調整はもちろん、薪を効率よく燃やすことができる。したがって燃費もいい。

暖炉も同様に薪を燃やすが、薪を焚く炉の部分が露出している、いわば焚き火のようなもの。火の勢いに任せて焚くしかない上、燃焼熱は四方に拡散してしまい、じつは思ったほどの暖かさは得られない。

昔懐かしいだるまストーブも、鉄製であることと、箱形という点では薪ストーブの一種に見えなくもないが、本体や炉の気密性は高くなく、薪ストーブのように煙まで燃やす(二次燃焼という)仕組みにはなっていない。やはり、現代の薪ストーブとは似て非なるものと認識すべきだろう。

■煙を燃やす二次燃焼

  1. 薪を燃やした際に発生する煙(可燃性ガス)を燃やすことを二次燃焼といい、現代の薪ストーブの基本機能となっている。煙からも熱を取り出せるため効率がよく、煙の排出量を減らすこともできる

薪ストーブは優れた環境性能を備えている点も特徴のひとつ。完全燃焼に近づける目的で、大半の機種が薪の燃焼時に発生する煙を積極的に、効率よく燃やす機能(二次燃焼システム)を備えている。排煙の軽減・クリーン化とともに、煙からも熱を取り出せる分、燃やす薪の量を抑えることができ、燃費面のメリットも期待できる。

■暖かさの秘密は遠赤外線

  1. エアコン 暖房イメージ

  2. 薪ストーブ 暖房イメージ画像

    エアコンや石油ヒーターなどは暖めた空気で身体の表面だけを温める。これに対して薪ストーブは燃焼熱とともに、遠赤外線が身体の中まで浸透するため、芯から温まって冷めにくい暖房効果が得られる

薪ストーブの特徴として、石油や電気を使うヒーターやエアコンなどとまったく異なる、身体の芯まで暖まる暖房効果がある。

これは燃えている薪と、加熱されたストーブの表面から熱とともに放出される「遠赤外線」によるものだ。遠赤外線は熱ではなく電磁波の一種。熱が物体の表面を暖めるのに対して電磁波は内部を暖める。遠赤外線を発する炭火で肉や魚を焼くと中までしっかり火が通ることが知られるが、薪ストーブも同様。遠赤外線が身体の内部まで浸透し、熱を加えることで身体が芯から暖まり、冷めにくい暖房効果が得られるのだ。

■暖め方は輻射式と対流式のふたつ

  1. 輻射式

    薪を燃やした熱でストーブ本体が暖まり、熱を蓄える。そして本体から放出される輻射熱と、遠赤外線とで部屋や人を暖めるもっとも一般的な暖房方式。暖まるまでに時間が多少かかるが、火が落ちてからも暖かさが持続する

  2. 対流式

    ストーブ本体を外板と内板とで構成した二重構造とし、その隙間を炉で暖めた空気の通り道として放出。一般的に鋳鉄製と比べて輻射熱が低く、蓄熱性で劣る鋼板製ストーブで主流の暖房方式で、火が落ちると冷めるのも速いが、速暖性に優れている

薪ストーブは暖房方式によって大きく「輻射式」と「対流式」のふたつに分類できる。

輻射とは物体が熱や電磁波を発生することをいい、熱を溜めやすい(=蓄熱性が高い)鋳鉄製ストーブで一般的な暖房方式。長時間にわたって大量の熱と遠赤外線を放出する。

一方、対流式は、鋳物ほどの輻射熱を放出せず、蓄熱性を持たない鋼板製のストーブで多く採用されている暖房方式。本体を外板と内板から成る二重構造とし、その隙間に炉で暖めた空気を通過させて放出、暖気を部屋に行き渡らせる。

最近は二重構造の鋳鉄製で、輻射と対流のふたつの暖房方式を併せ持った「複合式」と呼ばれる薪ストーブも少なくない。

■クラシックか? それともモダンか?

  1. クラシックタイプ

    クラシックタイプ 画像

  2. モダンタイプ

    モダンタイプ 画像

形状・デザインによって薪ストーブは大きく2タイプに分けられる。現在、日本での主流は横長モデル。クラシックタイプ、あるいはトラディショナルタイプと呼ばれ、部屋の雰囲気や流行に左右されない普遍的なデザイン、また調理もこなせる機能性の高さで根強い人気を得ている。

もうひとつは、縦長のモダン/コンテンポラリー(現代的)タイプ。大きなウインドウを備えたスタイリッシュなデザインは、さながら現代アートのようだ。セントラルヒーティングによる暖房が基本で、薪ストーブは炎を見て楽しむためのインテリアとして割り切る北欧・欧州が発信地。ここ数年、日本での注目度も急速に高まっている。

薪ストーブの導入にかかる総予算

薪ストーブ導入の初期コストは、機種や設置条件、また店舗によっても差があり、一概にはいえないが100万円前後は考えておく必要がある。

ストーブ本体と同等近くのコストがかかるのが煙突。「たがか煙突」と思うかもしれないが、薪ストーブでは断熱二重煙突という非常に高価だが、断熱性と保温性に優れた煙突を使うのが常識。薪ストーブの暖房性能を引き出すのと同時に、安全性も確保できる。煙突にかかるコストを削れば、多少は安くなるかもしれないが、後々トラブルを引き起こす可能性が高い。

薪ストーブの購入は実際に専門店に足を運んでの対面販売が基本。通販やホームセンターなどで購入すれば、それなりに安いかもしれないが、適切な設置・施工が期待できないことが多く、お薦めできない。

■薪ストーブ導入に必要な費用(概算)
本体 30万〜100万円
煙突部材 40万〜60万円
設置・施工費用 10万〜30万円
合計 80万〜190万円

*煙突部材と設置・施工費用はプランおよび店舗によって大きく変わります
*炉台・炉壁の費用は含んでいません